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本の表紙風

日曜の午後、ぺえたは外出の用意をしていた。
必要な物を鞄に入れ終えると、一階へ下りて行き、車のキーを手に取った。
そして玄関に向かう前に、ぺえたはトイレに入った。
外出前には必ずトイレに入るのが、ぺえたの習慣になっていた。
トイレのドアを閉めた途端、千代子が騒ぎ始めた。
キャォォン、ウォォォンと千代子は興奮して吠え立てている。
きっと、ニョキ立ちもしているだろう。
ぺえたはトイレの中でため息をついた。
千代子は勘違いをしている。
これから散歩に行けるのだと思い込んでいるのだ。

散歩前にトイレに入るのも、ぺえたの習慣になっている。
なぜなら以前、散歩の途中で便意をもよおし、慌てて家に引き返した苦い思い出があったからだ。
それ以来ぺえたは、散歩前には必ずトイレに入るようになったのだ。
そしてその習慣を、千代子も覚えてしまった。
その為に、夕方近くにぺえたがトイレに入ると、散歩に行けると思い、催促吠えをするようになってしまったのだ。

ぺえたがトイレから出ると、千代子がいっそう大声で吠え始めた。
いよいよ散歩に行けると思っているようだ。
千代子の顔は、散歩への期待で満ち溢れていた。
「違うよ、千代子。散歩に行くわけじゃない」
そう言っては見たものの、ぺえたは迷っていた。
先に散歩に行ってから自分の用事を済ませるべきか、それともやはり、用事を済ませてきてから散歩に行くべきか・・・・・・。
嬉しそうに目を輝かせる千代子を、置いて出かけるのも気が引ける。
だが、ぺえたには今日どうしても外出しなければならない用事があったのだ。

今日はレンタルしたDVDの返却日なのだ。
今日返さなければ、延滞料金を払う羽目になってしまう。
ただでさえ、100円レンタルデーの日に借りてきたDVDなのだ。
延滞料金を払うなんて馬鹿げている。
店は深夜まで開いているので、時間にはまだ余裕があった。
しかしぺえたは、できれば夜に車を運転するのは避けたかった。
年のせいで視力が落ちてきていたからだ。
DVDを返してきてから散歩に行くと、外は今より暗くなっているだろう。
日が延びてきたとはいえ、まだ日が短いことに変わりはない。
少しでも明るいうちに、散歩を済ませてきたほうが良いのではないか・・・。
ぺえたは心を決めた。

ぺえたがリードを手に取ると、千代子は大喜びで立ち上がった。
興奮した千代子は、ぺえたの手からリードを奪い取ると、ビタンビタンと激しく床に打ちつけた。
そして次には、床に転がっていたおもちゃを咥え、廊下をドタバタと右へ左へ歩き始めた。
これは散歩前に千代子が必ずとる行動だ。
どんな理由があるのかは解らないが、子犬の頃からそうだった。
千代子は興奮すると、何か口に咥えないといられないようなのだ。
子犬の頃は、おもちゃを咥えたまま散歩に出かけてしまうことも度々あった。
だが今では、ぺえたが「ペッしなさい」と言うと、千代子はおもちゃをポトリと床に落とすようになった。
それが散歩前の二人の習慣になっている。

そうしていつもの遣り取りを終え、二人が玄関を出ると、庭の奥のほうからコココココン、コココココンという音が聞こえてきた。
何か硬い物を叩いているような、高い音。
ぺえたはその音に聞き覚えがあった。
確信を持って音のする方を見てみると、ヒヨドリがぺえたの車の窓ガラスをつついていた。
「またアイツか・・・・・」
ぺえたはウンザリした顔で呟いた。

ヒヨドリが車のミラーに映る自分と戦うようになってから、もう、かれこれ半月以上になるだろうか。
駐車する時にサイドミラーを畳むようにしてからは、姿を見かけることは少なくなっていた。
この数日はまったく姿を見せなかったので、ヒヨドリはもう戦うことを止めたものだとぺえたは思っていた。
しかし、ヤツはまたやって来たのだ。
車をよく見てみると、サイドミラーが閉じられていなかった。
先日車を仕舞う際に、ぺえたはミラーを閉じるのを忘れていた。痛恨のミスだ。
車のドアに目をやると、案の定、フンまみれになっていた。
外出前にまた車を洗わなければならない。
ぺえたは怒りを覚えた。自分に、そしてヒヨドリに。
ぺえたはヒヨドリに向かって大声で怒鳴りつけた。
「コラッ、この野郎」
その声に驚いたヒヨドリは、慌てて飛び去って行った。
後には、鳥のフンにまみれた車が一台、残されていた・・・。

ぺえたの心はまだ怒りに震えていたが、今は千代子の散歩に行かなければならない。
千代子の顔を見ると、満面の笑みを浮かべ、ぺえたを見詰めていた。
「早く行きましょうよ」そう言っているようだった。
ぺえたは気を取り直して、いつものあぜ道へ向かった。
千代子は嬉しそうに尻尾を振りながら、足早に歩いて行く。
あちこちで匂いを嗅ぎ、また、あちこちでマーキングをした。

においに夢中

時おり車が二人の脇を通り過ぎて行く。
ぺえたはいつも、千代子にこう言って聞かせていた。
「千代子、車は危ないんだよ。車が来たら道の端に避けなさい」
だが千代子は、トラックが来ようが、耕運機が来ようがお構いなしだ。
ぺえたが止めないと、道の真ん中を歩いたり、道をジグザグに歩いたり、実に好き勝手に歩くのだ。
ぺえたはいつも車に注意しながら、緊張して歩いていた。
だが、そんな飼い主の心を、千代子は知る由もなかった。

あぜ道を一周して帰宅したぺえたの耳に、またあの音が聞こえてきた。
コココココン、コココココン
車のほうに目をやると、またあのヒヨドリが窓ガラスをつついていた。
「あの野郎・・・・また来やがったか」
ぺえたの心に、再び怒りの炎が燃え広がった。
だが、ぺえたはその怒りを抑え、静かにカメラを構えた。
せっかくだから写真を撮って、またブログのネタにしてやろうと思ったのだ。
ヒヨドリに気付かれないよう、そろりと車に近付こうとした瞬間、ぺえたは転倒しそうになり、うっかり声をあげてしまった。
千代子がリードを引っ張ったのだ。
ぺえた達に気付いたヒヨドリは、また何処かへ飛んで行ってしまった。
「チッ、逃げられたか・・・・」
ぺえたは口惜しそうに呟いた。
だがヒヨドリは、またやって来るだろう。

空は、散歩前より少し暗くなっているようだった。
早くDVDを返してこなくては。
散歩を終えた千代子は、満足そうに廊下で寛いでいた。
ぺえたは千代子に、外出する旨を告げた。
千代子は少し悲しそうな顔をしたが、黙って許してくれた。
ぺえたはDVDの入った鞄を肩に掛け、車のキーを手に持ち玄関を出た。
車の側に来ると、車のあちこちに鳥のフンが付いていた。
地面にも鳥のフンが散乱している。駐車場は鳥ク○臭で満ちていた。
ぺえたは込み上げてくる怒りを必死に抑え、洗車用のブラシを手に取った。
目を吊り上げて車を洗うぺえたを、千代子は窓越しに、ただ静かに見詰めていた。



***************

<筑波山のお土産プレゼント当選者発表>

1週間経ちましたので、当選者の方を発表させていただきます。

お土産

①カエルキティちゃん → マーちゃんさん

②カエルキューピー  → けんPさん

③水戸黄門キューピー → ぶらぼー!さん

以上の方にプレゼントさせていただきたいと思います。
ご応募ありがとうございましたm(__)m


347304.gifおまけ347304.gif

散歩から戻ったぺえたが玄関を開けると、室内にはむせ返るほどの酒の臭いが充満していた。
「なんだこの臭いは・・・・」
あまりの酒臭さに、ぺえたは思わず吐き気をもよおした。
臭いの元は台所にあるようだ。
ぺえたは思い切って台所のドアを開けた。
そこにあった物は・・・・・・・・・・


今年のすみつかれ

「すみつかれ」だった。(しもつかれとも言う)

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我が家では毎年2月の初午の日に、すみつかれを作ることになってるそうです。
まっ、私は食べないけどね
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